- '95札幌夏物語 -

うんざりだ!充実と退屈とのトレードオフの日常。
僕は、そんな日常から一刻も早く抜け出したかった。
正確にいえば・・・・・・・          逃げ出したかったに違いない。
だから、”一夏に一度、夢の降る町がある。”というキャッチコピーに飛び付き、
3人の志士、望月、フル、そして本間とともに北を目指したのだった。
そして、僕らは、今夜・・・
生潅忘れることのできない”夢”を、ここ札幌で拾ったのだった。

プルルルルルル・・・・・・プシュー!ガタンゴトン・ガタンゴトン・・・・
電車の扉は、定刻どうりに閉まり、ゆっくりと走り出した。
僕ら4人が札幌方面行の電車に乗り込んだ時には、すでに7時半を回っていた。
披女たちとの待ち合わせ時間を30分も過ぎている。
披女たち・・・・・・・。”マキちゃん”と”重田”のことだ。
披女たちとは、”苫小牧”行きのフェリーの中で知り合い、ほんのつかの間ではあるが
同じバイク乗りとして”北の大地、北海道”での夢や希望を語り合ったのだった。
”マキちゃん”は、小柄で少し控え目な女の子、”重田”は、バリバリのツ−リストと
いうのが最初の印象だった。
そんな彼女たちと今夜7時に”札幌ビール苑”で、待ち合わせをしているのだ。
『彼女たち、まっててくれるかなー・・・・・』と本間が呟く。
『待ってるとおもうよ!』とフルが間髪入れずに答え、
僕も望月といっしょにうなずいていた。
『マキちゃんって、KYON・KYONに似てるよなー!』
『オー!似てる似てる!!』と僕の問い掛けにみんなが答えてくれた。
『昼飯食いながら、KYON・KYONがソーメンを食べでる姿って、
こんな感じなんだろーなって思ったぜ!』ハッハッハッハ・・・・・・・
『それより、本間ー!おまえ、重田におされてたぜ!』
『オー!おれもあんなすげー女、はじめてだよ!』と本間がしかめっツラで答え、
そして、まくしたてるように
『なんてたって!口じゃー負けたことねーから・・・・・・・・・』
『本間ー!負けたのは、俺たちだよ!おまえの”なんだとー!”という、せリフで
何度殺されそうになったか!笑いで息ができなかったぜ!』
ハッ!ハッ!ハッ!ハ・・・・・クッ!クッ!ク・・・
という調子で電車の中では、今日一日の事を思い出してはバカ話に花を咲かせていた。